今回の論文はコチラ!!!
John Bollingerによる「出来高指標の調査」です!!!
みなさん、「出来高」についてキチンと理解してますか???
トレーディングルールを作っているけど、何かが足りない…と感じてる人は役立つかもしれません!
今回の論文の著者、John Bollingerは「ボリンジャーバンド+出来高指標(%v)」でトレードしています!
「今のテクニカル分析にワンポイント追加したいなあ」と思っている人はぜひ検討してみてください!
「出来高」を含んだテクニカル指標はほとんどないため、独立した指標としてはピッタリです!!(本論文に出てくるMFI、VW-MACDくらいです)
※概要を簡単に知りたい人はJournal Clubの紹介ページの各論文まとめを参照してください!
なおこちらの論文は、IFTA Journal(2002)に掲載されています!
論文の概要
今回の論文では
▷「出来高とは?」
▷「出来高の指標」はどのように作られている?
▷「出来高の指標の具体例と原著」
について主に書かれています!
これに沿って解説していきます!
出来高とは?
出来高についてはモメンタムやトレンド指標より文献数が少なく、知名度も高くないため誤解されている部分が多いです
まず初めに
「出来高=実際の取引高」
です!
では、取引高を見ることで何が良いかというと
・取引高により市場のバランスを理解できる
・買い手と売り手の絶妙なバランスを価格以外の観点から評価できる
・出来高は価格に先行する
といったところです。
例えば、このブレイクは騙しなのか本物なのか・・・
本物なら市場にみんなが参加しているので出来高を伴っています!!!
すべての指標の予測として、最終的な結果は出来高に行きつきます
と言えます。
出来高指標はどうやって作られている?
そもそも「出来高が多い」、「出来高が少ない」をどうやって評価するか?
→視覚的に棒グラフで確認しても良いし、平均値(%v)等を利用しても良いです!
▷出来高の指標の作り方
①前の価格変化から作成
②検証している取引パターンから作成
③前の出来高の変化から作成
④出来高の増減を自身と比較
⑤他の指標(RSIやMACDA)に出来高を含める
です!
大きく分けると、
▷価格から出来高指標を作るのが①、②
▷出来高の変化から価格変化を予想するのが③
▷出来高のみから考慮するのが③
▷指標そのものに出来高を組み合わせる!⑤
になります!
①~⑤について、本論文では各2例ずつ、例を挙げています!
いつ「出来高」の概念ができたかは不明です。
1990年代前半:Schabacker and Wyckoffなどの著書などで既に説明
1950年:チャートパターンの確認として使われ始める
※ヘッド&ショルダーの形成過程で出来高が減少し、ネックラインブレイクで出来高上昇など
出来高をはじめに考えた人は誰か分かりません…が、市場で勝っている人が手法を公開するメリットは全くないですよね。
歴史的にみても、プライスアクションやテクニカル指標と組み合わせて広まっていて、色んな人のトレーディングルールと親和性が高いので、使ってみる価値は高いです。
出来高の指標例と原著
※「出来高指標」の出典についてまとめられてます。
※各指標の詳細については、出典をあたってください。(本論文で詳細には述べられていないため)
※今後、テクニカル分析で出典元から紹介する場合があります。
OBV(オンバランスボリューム)
・Frank Vignolaにより作られた出来高指標
・OBV広めたのは、Joe Granvilleと言われてます。そして彼がOBVに関連の派生を広げました。詳しくは1963年Prentice Hall社出版の“Granville’s New Key to Stock Market Profits”で述べられています。
※Joe Granville(=Joseph Ensign Granville)はかの有名なグランビルの法則を作った人です。
になります。
すなわち、出来高に価格変化率をかけた累積になります。
V-PT(Voluem-Price Trend)
・David Marksteinにより作られた出来高指標
・1966年の著書 “How to Chart Your Way to Stock Market Profits”で発表されました。
OBVに似た指標で、出来高に日々の価格変化の符号をかけた累積になります。
Intraday Intensity(マネーフロー)
・命名については様々あり、色々なものが「マネーフロー」と呼ばれています。
・Mark ChaikinはIntraday Intensityの名称をマネーフローと命名しました
・David Bostianはthe Intraday Intensity Index=マネーフローとして使用てます
※こちらのDavid Bosstianの著書”Encyclopedia of Stock Market Techniques”で1967年に発表されています。
終値とその日のレンジを比較する指標
背景には、機関投資家は取引終了につれてポジション決済を迫られるため、1日の終わりにそのニーズを満たすために相場が傾くことを意識しています。
AD(Accumulation Distribution)
・Larry Williamsにより作られた出来高指標
・1972年に著書“The Secret of Selecting Stocks for Immediate and Substantial Gains”で公表
・日本のローソク足に近い考え方
・始値のない時代はADの代わりにIntraday Intensityを使っていた人も多かったようです
始値と終値を比較して、出来高にかけて評価
NVI(Negative Volume Index)、PVI(Positive Volume Index)
・NVIはPaul Dysartによって、PVIはその息子Richardによって開発されたようです
・詳細については一般に公表されていないため、不明です
・NVIは市場全体の分析ツール、PVIは個別銘柄のトレンド指標として使われる場合もあります
出来高が減少した場合はNVI、増加した場合はPVIとして価格変動を蓄積。
%v
・原著については記載なし
・ボリンジャーバンドとの相互補完性が有効
出来高を移動平均で割って、100を掛けた比率をプロットしたもの
VO(Volume Oscillator)
・原著については記載なし
出来高の移動平均(長期)から移動平均(短期)を引いたもの
一般的には10日、20日が使われる
MFI:マネーフロー指数(RSIをアレンジしたもの)
・Gene Quong and Avrum Soudackによって開発された出来高指標
・1989年に著書”issue of Technical Analysis of Stocks and Commodities.”の中で公開
価格変動に出来高を乗じたもの
上昇時に出来高が増え、下降時に出来高が減る場合はRSIよりMFIパターンになる
VW-MACD
・Gerald AppelがMACDを公表
・その後、Buff Dormeierの移動平均線Crossover system(非公表のCMT論文)を参考にVW-MACDが作成されました
移動平均の代わりに出来高加重移動平均を使用したもの
トレンドの確認、非確認によりインジケーターの感度上昇
※トレンドの確認、非確認によりインジケーターの感度上昇
※移動平均の代わりに出来高加重移動平均を使用
Take Home message
▷「出来高指標」はいろいろな指標と相性が良く、組み合わせることでトレードを改良できます!
▷本論文を読んで、「オリジナルの出来高指標を作りたい!」と思った人は、それぞれの分類から自分で作ってみるのも良いですね!
もし素晴らしい指標を作った日には、トレードをやめる時で良いのでぜひ論文化してください!笑
勉強するほど、勝率1%上げるのがどれだけ大変か・・・知らなくて良いテクニカル分析なんて一つもないですね!
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